一度ある企業に入ったら、そこで10年後、20年後もずっと働き続けるという感覚はもとより薄く、社員1人ひとりが他にもっと自分を活かせる場所が見つかったら転職するのが当然だと思っています。
だからこそ、自分のスキルや市場価値というものをごくシビアな目で見ている人が多く、個人のキャリアビジョンを追求しているのです。
この「社員がキャリア自立を果たしている」という共通点のほかに、ベンチャーと外資系には、もうひとつ大きな共通点があります。
「男性女性関係なく働いている」ということです。
私自身ITベンチャーに勤務してきましたし、外資系の会社とも多々おつきあいがありますが、本当に女性が活き活きと働いています。
よくメディアなどで取り上げられる「女性が活躍している会社ランキング」「女性にやさしい企業」を見ていると、その上位に食い込んできている企業にはおどろくほど外資系、ベンチャー企業が多いのがわかります。
日本企業にはまだ、男性がつくりあげてきたオールドキャリアの時代の価値観が根強く残っています。
先に書いたように、日本企業も、そのありかたを変えていくことを社会的背景から迫られ続けています。
これから社会を支える20代の価値観というのもドラスティックに変化しています。
肝心の日本企業の組織風土、社風の変化はそのスピードにうまくついてです。
女性活用の問題で、いちばん悩んでいるのは日本企業です。
それも、歴史のある中規模.大規模の企業が最も、岐路に立たされている。
私に「女性を活かすにはどうすればいいのでしょうか」と悩みを相談してくるのはほとんどそういう企業です。
なぜうまくいかないかというと、先ほど書いたように組織風土自体が変化していないか「社員1人ひとりが自立していること」「女性が活き活きと働いていること」、この2点は深くリンクしているのです。
個々がそれぞれのキャリアビジョンを持って働くようになれば、積極的に受け入れるような組織風土が整えば、必然的に男性女性の性差はなくなる、断言していいと思います。
女性を活かす組織をつくるということは、すなわち組織のDNAをがらりと変革するということこのくらいの意識を持ってこの問題に取り組むべきではないかと私は思い日本企業もずっとオールドキャリアの価値観のまま、いつまでも変化しないままでいて時代のスピードに取り残されるばかりか、5年後、V年後の企業競争力にダイレクトそのテーマに入る前に、「そもそも『女性を活かす』とはどういうことか」をはっきりさせておく必要があるでしょう。
ここでまず、企業が陥りがちな2つのパターンから、女性活用の意味について説明していきたいと思います。
企業が女性活性化のために行うアプローチの典型として、「女性を取締役や執行役員などの要職に据えようとする」というのがあります。
これで本当に女性を活かしていることになるのでしょうか。
「女性を活かす」とはどういうこと?女性をこれからもっと活性化させていくために、企業は具体的に何を始めればまた、こんなケースもあります。
私はいろいろな企業とおつきあいしているなかで、「わが社は女性を活かしています。
女性管理職は○倍に増やしました!」という企業に遭遇することがあります。
その会社で働く現場の女性社員の声をよくよく聞いてみると、「活躍しているのは一部の人だけで、私たちは何も変わらないし……」と戸惑っていたりするのです。
つまり、こうしたアプローチは女性を活かしているのではなく、「活かしているふりをしている」だけと言えます。
女性を活かすとは、女性幹部をつくるということではないのです。
女性管理職を増やすということでもないのです。
一部の選ばれた女性だけを活かしていくのではなく、今まで男性のバックアップとして頑張ってきた女性が表舞台で活き活き働けるような環境をつくっていくということなのです。
やる気のある一般の女性社員に道を拓いていくということなのです。
もちろん女性取締役の存在は対外的にはアピールになりますが、それで社内の女性社員たちが活き活きと働けるようになるかというと、決してそうではないでしょう。
第一、今まで男性社会でやってきた企業がいきなり女性役員を生み出そうとしても、根本的に無理があります。
そのなかで「よし、この人ならやれるかもしれない」という女性を管理職につけることはあるかもしれませんが、あくまで結果にすぎないのです。
「○人女性管理職を増やす」と数字目標を立ててそこに数合わせで向かおうとするのは、本末転倒です。
私が知っているある企業では、女性にもっと頑張ってもらいたいと、まず高額をかけて立派な保育施設をつくりました。
メディアにも取り上げられていました。
その企業では、入社した女性社員が20代のうちにほとんど辞めてしまうというのです。
つまり、子供を産まないどころか結婚しないうちにどんどん辞めてしまうというのです。保育施設がなくてもあっても、彼女たちには関係ないのかもしれません。
これでもう1つ、企業が女性を活かすためによく行う施策は、福利厚生や制度を整備することです。
育児休暇を充実させたり、時短勤務制度をつくったりするのがその典型です。
後で書きますが、もちろん必要なことなのです。
この部分だけにとらわれていた制度や設備を整えることばかりに気がいってしまって、い「灯台もとの企業」なのではないかと思います。
まだまだ勘違いされていることが多いのですが、「女性を活かす」ということは、「女の人をただ大事にする」ということではないのです。
女の子扱いした、甘やかすということではありません。
お茶の時間に女性社員にお土産のお菓子を配るなどよくある例ですが、こういうことをしているからといって「うちの会社は女性にやさしい」「女性は満足するだろう」と思い込むなど、大間違いです。
ではそれとは反対に、男女平等なのだから男と同じに働けよ、という態度が適当なのかというと、それも違います。
企業の一部には、総合職の女性や管理職候補の女性は男性と全く同じように扱いながら彼女たちに「女性ということをハンディと思って男性以上に頑張る」ことを暗に求めてしまう傾向があるようです。
昔は「女は男の3倍働いて1人前」などという言葉がありましたが、よく考えるまでもなく、おかしなことです。
こうして女性を、男並みに、男以上に働かせることが女性を活かすことだと思い込むのも、企業側の大きな勘違いです。
女の子扱いも、男扱いもダメ。
では、企業はどういう態度で女性に接していくべきその答えは本書のなかで少しずつひもといていきたいと思いますが、手がかりのひとつとして、次に、現在働いている女性たちがどんなことで悩んでいるのかを挙げていきましよう。
まずは、一般の女性社員の悩みを挙げます。
にこにこ笑って楽しそうに仕事をしているように見えても、彼女たちはたくさんの悩みを抱えています。
ロールモデルとは、平たく言えば生き方.働き方のお手本になるような人のこと。
仕事で認められたいとかもう少しやってみたいとか思っても周りの女性たちと同じように生きているのが無難なのではないか、と自らあきらめてしまいます。
男尊女卑の風土が根強く残る会社、業界はまだまだ少なくありません。
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